秋山毅志

 

所属

ヘリカル研究部 高温プラズマ物理研究系 レーザー計測研究部門 准教授

 

経歴

19769月 秋田県生まれ

19953月 秋田県立秋田高等学校 卒業

19954月 東京工業大学 理学部 第一類 入学

19993月 東京工業大学 理学部 物理学科 卒業

19994月 東京工業大学大学院 理工学研究科 原子核工学専攻 修士課程 入学

20013月 東京工業大学大学院 理工学研究科 原子核工学専攻 修士課程 修了

20014月 東京工業大学大学院 理工学研究科 原子核工学専攻 博士後期課程 入学

20033月 東京工業大学大学院 理工学研究科 原子核工学専攻 博士後期課程 修了

                            (取得学位:博士(工学)、1年短縮修了)

 

職歴

20034月 文部科学省 核融合科学研究所 大型ヘリカル研究部 開発研究系 助手

20044月 自然科学研究機構 核融合科学研究所 大型ヘリカル研究部 高温プラズマ物理研究系 助手

20074月 自然科学研究機構 核融合科学研究所 大型ヘリカル研究部 高温プラズマ物理研究系 助教

20104月 自然科学研究機構 核融合科学研究所 ヘリカル研究部 高温プラズマ物理研究系 助教

201210月 自然科学研究機構 核融合科学研究所 ヘリカル研究部 高温プラズマ物理研究系 准教授

20134月 京都大学エネルギー理工学研究所 エネルギー機能変換研究部門 客員准教授

 

研究内容

1.    機械振動自己補正型干渉計の開発

2.    密度計測用偏光計の開発

3.    50ミクロン帯レーザーを用いた偏光干渉計の開発

4.    第一ミラーの反射率低下機構と抑制手法の開発

5.    LHDにおけるデタッチメントプラズマの密度吐出し現象の研究

6.    ヘリカル装置におけるH-modeと装置間比較研究

7.    CHSにおける密度揺動計測

8.    密度計測用偏光計の開発

 

1.    機械振動自己補正型干渉計の開発とヘリカル原型炉における密度計測系の検討

核融合プラズマの線平均電子密度は、燃料供給制御や物理研究に不可欠な基本パラメータの一つであり、高い計測精度と信頼性が求められます。その計測には干渉計が用いられてきましたが、従来の干渉計は機械振動がもたらす計測誤差や「フリンジジャンプ」と呼ばれる密度絶対値が失われる問題があります。「ディスパーション干渉計」は機械振動を自己補正する特殊な干渉計であり、除振システムを必要としません。また、適切な波長を選ぶことでフリンジジャンプを原理的になくすこともできます。しかし、ディスパーション干渉計は、測定信号強度の変化が計測誤差になってしまう欠点がありました。そこで、ディスパーション干渉計に位相変調と変調強度比を用いた位相抽出方法を導入することで、その問題を解決しました。ディスパーション干渉計は、密度計測を高精度で信頼性高く行うことができ、LHDにて計測試験を行っています。また、本計測手法はプラズマ計測だけでなく、薄膜厚計測などにも適用が可能で、機械振動の影響を受けずに計測をすることが可能になります。

 

2.    密度計測用偏光計の開発

 直線偏光の偏光面は、磁場中のプラズマを透過すると回転する現象があり、ファラデー効果と呼ばれます。その回転角(ファラデー回転角)は、プローブ光の光路に沿った電子密度と磁場強度の積の線積分値となります。そのため、電子密度と磁場のいずれかが知己であった場合、回転角からもう一方の値を評価することができます。歴史的には、電子密度を干渉計から求め、ファラデー回転の偏光計測からプラズマ内部の磁場強度分布を評価するのに用いられてきましたが、本研究では大型ヘリカル装置Large Helical Deviceにて密度評価に利用しました。偏光計測によって電子密度を評価する利点は、ディスパーション干渉計と同様に機械振動の影響を受けにくく、またフリンジジャンプも原理的になくすことができるため、信頼性高い電子密度評価が可能になる点にあります。また、プラズマ透過によってプローブ光の楕円度が変化するコットン・ムートン効果も、密度計測に用いることができます。コンパクトヘリカル装置Compact Helical Systemにて干渉計測とコットン・ムートン効果を同時・同一視線で偏光計測するシステムを構築し、密度計測手法としての有効性を示しました。

 1. のディスパーション干渉計及び密度計測偏光計は、将来の核融合炉における密度計測手法として有望です。現在、それらを組み合わせて、ヘリカル原型炉における高精度で高信頼性のある密度計測系を検討しています。

 

3.    50ミクロン帯レーザーを用いた偏光干渉計の開発

現在の核融合装置では、ファラデー効果を利用した内部磁場計測や電子密度の計測に波長100ミクロン帯の遠赤外レーザーが用いられています。しかし、ITERをはじめとする、今後の大型でかつ1020 m-3を超えるような高密度プラズマ核融合装置では、プラズマ中でのレーザー光の屈折や、ファラデー効果とコットン・ムートン効果とのカップルによる計測誤差などの問題があります。それらの問題は、波長の短い光源レーザーを用いることで抑制できるため、現在50ミクロン帯のレーザー偏光干渉計の開発を行っています。本研究は中部大学工学部岡島・中山研との共同研究で進めています。

 

4.    第一ミラーの反射率低下機構と抑制手法の開発

 レーザー計測をはじめ、核融合装置での計測には、真空容器内にミラーを設置する必要があります。「第一ミラー」と呼ばれるプラズマに面した位置のミラーの場合、プラズマによるミラー表面の損耗や、不純物の堆積による反射率の低下の問題があります。現在の装置では、メンテナンス時に定期的にミラーを交換すれば良いのですが、ITERや将来の核融合炉ではミラーの寿命が短いと装置の稼働率を落とす原因となるため、長期間使用できることが求められます。損耗はプラズマ粒子による表面原子の叩き出しに強いモリブデンやタングステンなどの金属を使うことで抑制できます。不純物堆積に対しては、不純物がミラーに到達しないようにする方法と、付着した不純物を除去する方法が必要ですが、本研究では特に不純物堆積機構を明らかにし、到達する不純物量を減らす手法を開発しています。本研究は九州大学応用力学研究所吉田研究室との共同研究で進めています。

 

5.    LHDにおけるデタッチメントプラズマの密度吐き出し現象の研究

将来の核融合炉においては、ダイバータへの熱粒子負荷を軽減することが必須となっています。その有力な手法の一つがダイバータプラズマや周辺プラズマを冷却し、プラズマの持つエネルギーを放射として散逸させる「プラズマデタッチメント」です。LHDでは、摂動磁場を印加して放射領域を安定化する方法が提案されています。デタッチメントの際、周辺領域から密度がバースト的に吐き出される現象が観測されており、その物理機構や3次元性の研究を行っています。

 

6.    ヘリカル装置におけるH-modeと装置間比較研究

プラズマの閉じ込め性能が向上する「H-mode」と呼ばれる閉じ込め改善モードがトカマクで発見され、今後の核融合炉での主要な運転モードとして盛んに研究がなされています。幾つかのヘリカル装置でも、それに類似した改善状態が観測され、国際協力作業会(Coordinated Working Group Meeting)を通してヘリカル装置間での比較研究を進めています。CHSでは閉じ込め改善状態への遷移に必要な外部加熱パワーのパラメータ依存性は、トカマクで観測されているものと同様な特性であることが分かっています。

 

7.    CHSにおける密度揺動計測

CHSにて波長337 mmHCNレーザー干渉計を改造し、散乱法による密度揺動計測を行いました。CHSで観測された閉じ込め改善モードへの遷移時に、密度揺動が減少する様子などを測定致しました。

 

研究業績 [こちら]

 

特許

ディスパーション干渉計及び被測定物の物理量の計測方法, 特開2010-107470

 

社会活動

プラズマ・核融合学会 企画委員会・企画第2小委員会委員

プラズマ・核融合学会誌 編集委員(企画幹事)

 

受賞

1.    JKS 2000 Award (2000)

2.    4回核融合エネルギー連合講演会若手ポスター発表優秀賞 (2002)

3.     () 手島工業教育資金団手島記念研究賞博士論文賞 (2004)

4.    25(2008年秋季)応用物理学会講演奨励賞 (2008)

5.    5回日本赤外線学会奨励賞 (2009)

6.    吉川允二核融合エネルギー奨励賞 (2010)

7.    プラズマ・核融合学会第27回年会第1回若手優秀発表賞 (2010)

8.    プラズマ・核融合学会第15回学術奨励賞 2011

9.    日本物理学会第17回論文賞受賞論文(共著)(2012

 

外部資金獲得状況

1. 井上財団国際研究集会出席旅費援助(2006

2. 科学研究費補助金若手研究(B)「密度・温度同時計測用ミリ波システムの開発とダイバータプラズマでの間欠的輸送の研究」(20062007

3. 自然科学研究機構 機構長裁量経費(2007

4. 科学研究費補助金若手研究(B)「振動自己補正機能付干渉計の高性能化」(20082009

5. 吉川允二核融合エネルギー奨励賞研究助成(2010

6. 科学研究費補助金若手研究(A)「定常・高密度核融合炉のための振動自己補正型干渉計の短波長化」(20122014